記事の対象者と解消できるお悩み
【対象者】
初中級データアナリスト
【興味関心】
- 人口動態の変化
- 社会問題
- 地域特性
- マーケティング戦略
- 新規事業の機会
- データに基づいた意思決定
【解消できるお悩み】
- 人口減少や高齢化が、ビジネスにどんな影響を与えるか知りたい
- 地域ごとの人口特性を分析して、効果的なマーケティング戦略を立案したい
- 社会問題を解決するような、新しいビジネスチャンスを見つけたい
- データを使って、社会のニーズを把握したい
記事作成者
【人物】株式会社志庵 代表取締役 佐藤 光 起業6年目
【経歴】株式会社光通信➜光通信同期と起業➜データアナリスト転職➜SaaSで2度目起業
【会社実績】
SaaS 資金調達無しARR2億円
SaaS GMV200億円
【内容】自社AaaSであるStruccle、webスクレイピング、BigQueryに関する記事を作成
各種用語
- ARR(Annual Recurring Revenue)
- サブスクリプションサービスの年間売上※当社はSaaS売上
- Struccle(ストラクル)
- 株式会社志庵が独自開発しているAaaS
- AaaS(アース)
- Data Analytics as a Serviceの意
- SaaS(サース)
- Software as a Serviceの意
- GoogleCloudPlatform
- Googleが提供するクラウドプラットフォーム。この中に様々なサービスが存在する。
- GCP(ジーシーピー)
- GoogleCloudPlatformの略
- BigQuery(ビッグクエリ)
- 上記GCPの中に含まれるデータ分析基盤サービス
- SQL(エスキューエル)
- データベースを操作するプログラミング言語
- クエリ
- SQLで記述した命令文
- クエリ例)
- SQL構文のクエリ⬇
SELECT item_name, price FROM sales_table where price >= 1000;
- 上記クエリ(命令文)の意味としては「売上テーブル(sales_table)から価格(price)が1000円以上の商品名(item_name)と価格(price)を抽出する」
- SQL構文のクエリ⬇
- ペタバイト
- データの単位 ペタバイト=1000テラバイト=約100兆行のデータ
概要
人口動態は、社会構造や経済活動に大きな影響を与える重要な要素です。少子高齢化、人口減少、都市部への人口集中など、世界各国で様々な人口問題が発生しており、これらの問題を解決するためには、人口動態データを分析し、現状を把握することが重要です。
Google Cloudのデータウェアハウス「BigQuery」は、その強力な分析機能と豊富な公開データセットを活用することで、人口統計分析を容易にし、社会問題解決への糸口を見つけることができます。この記事では、BigQueryを使って人口動態データを分析し、社会問題を考える方法を、具体的な例を交えながら解説します。データ分析初心者の方でも、BigQueryを使えば、複雑な人口データを分析し、社会問題の理解を深めることができるでしょう。
目次
- BigQueryで人口統計分析を行うメリット
- 人口統計分析に役立つBigQueryの無料公開データセット
- BigQueryで人口動態データを分析する手順
- BigQueryを使った人口統計分析例
- FAQ:BigQueryに関するよくある質問
- まとめ:BigQueryで人口動態を分析し、より良い社会を目指そう!
1. BigQueryで人口統計分析を行うメリット
BigQueryは、人口統計分析に最適なツールです。その理由は、以下の様なメリットがあるからです。
- 大規模データの高速処理: 膨大な人口データを高速に分析できるため、国や地域の人口動態を効率的に把握できます。
- 様々なデータソースとの連携: 公開データ、自社データ、外部データなど、様々なデータソースと連携できるため、人口統計分析に必要なデータを統合的に分析できます。
- 豊富な分析機能: SQL、機械学習、統計分析など、高度な分析機能を利用できるため、複雑な人口データ分析にも対応できます。
- コストパフォーマンスの高さ: 従量課金制なので、必要な時に必要なだけ利用でき、コストを抑えられます。
- 高いセキュリティ: Google Cloudの強固なセキュリティ基盤により、安心してデータを管理できます。
2. 人口統計分析に役立つBigQueryの無料公開データセット
BigQueryには、人口統計分析に役立つ様々な無料公開データセットが用意されています。以下は、その一例です。
- Census Bureau International Data: アメリカ国勢調査局が提供する、世界各国の国勢調査データです。人口、年齢構成、性別、民族、世帯収入などのデータが含まれています。
- World Bank Global Population Data: 世界銀行が提供する、世界各国の総人口、出生率、死亡率、平均寿命などのデータです。人口動態の長期的な傾向を分析するのに役立ちます。
- Google Trends: 特定のキーワードの検索ボリュームの推移を分析できます。社会問題や人口動態に関連するキーワードの検索トレンドを分析するのに役立ちます。
3. BigQueryで人口動態データを分析する手順
BigQueryで人口動態データを分析する手順は以下の通りです。
3.1 1. データ収集
まず、分析対象とする国や地域、期間、そして分析に必要な人口動態データを明確化します。BigQueryの無料公開データセット、政府機関や国際機関が公開している統計データなどを利用します。データ収集の際には、データの正確性、網羅性、最新性に注意する必要があります。
3.2 2. データ加工
収集したデータは、分析しやすいように加工する必要があります。例えば、データのクリーニング、変換、集計などを行います。BigQueryは、SQLを使ってデータ加工を行うための様々な関数を提供しています。例えば、年齢層別の集計、男女別の集計、地域別の集計などを行うことができます。
3.3 3. データ分析
加工したデータに対して、SQLクエリやBigQuery MLなどを用いて分析を行います。人口ピラミッドの作成、年齢別人口構成比の推移、出生率と死亡率の比較、人口移動の分析などを行うことで、人口動態の現状と課題を把握することができます。
3.4 4. 考察と分析結果の活用
分析結果に基づいて、人口動態が社会に与える影響を考察します。少子高齢化、人口減少、都市部への人口集中などの問題点と、その原因や影響を分析し、レポートにまとめます。分析結果を基に、政策立案、地域活性化、社会福祉、ビジネス戦略など、様々な分野で活用することができます。
4. BigQueryを使った人口統計分析例
ここでは、BigQueryの無料公開データセット「Census Bureau International Data」を使って、簡単な人口統計分析例を紹介します。このデータセットには、世界各国の国勢調査データが格納されています。
BigQuery分析例:国別・年別の高齢化率
高齢化は多くの国で社会問題となっており、その推移を把握することは重要です。
このクエリは、国別・年別の高齢化率(65歳以上の人口割合)を計算します。
SELECT
country_name,
year,
(
sum((population_age_65 + population_age_66 + population_age_67 + population_age_68 + population_age_69 + population_age_70 + population_age_71 + population_age_72 + population_age_73 + population_age_74 + population_age_75 + population_age_76 + population_age_77 + population_age_78 + population_age_79 + population_age_80 + population_age_81 + population_age_82 + population_age_83 + population_age_84 + population_age_85 + population_age_86 + population_age_87 + population_age_88 + population_age_89 + population_age_90 + population_age_91 + population_age_92 + population_age_93 + population_age_94 + population_age_95 + population_age_96 + population_age_97 + population_age_98 + population_age_99 + population_age_100))
/
SUM(population_age_0 + population_age_1 + population_age_2 + population_age_3 + population_age_4 + population_age_5 + population_age_6 + population_age_7 + population_age_8 + population_age_9 + population_age_10 + population_age_11 + population_age_12 + population_age_13 + population_age_14 + population_age_15 + population_age_16 + population_age_17 + population_age_18 + population_age_19 + population_age_20 + population_age_21 + population_age_22 + population_age_23 + population_age_24 + population_age_25 + population_age_26 + population_age_27 + population_age_28 + population_age_29 + population_age_30 + population_age_31 + population_age_32 + population_age_33 + population_age_34 + population_age_35 + population_age_36 + population_age_37 + population_age_38 + population_age_39 + population_age_40 + population_age_41 + population_age_42 + population_age_43 + population_age_44 + population_age_45 + population_age_46 + population_age_47 + population_age_48 + population_age_49 + population_age_50 + population_age_51 + population_age_52 + population_age_53 + population_age_54 + population_age_55 + population_age_56 + population_age_57 + population_age_58 + population_age_59 + population_age_60 + population_age_61 + population_age_62 + population_age_63 + population_age_64 + population_age_65 + population_age_66 + population_age_67 + population_age_68 + population_age_69 + population_age_70 + population_age_71 + population_age_72 + population_age_73 + population_age_74 + population_age_75 + population_age_76 + population_age_77 + population_age_78 + population_age_79 + population_age_80 + population_age_81 + population_age_82 + population_age_83 + population_age_84 + population_age_85 + population_age_86 + population_age_87 + population_age_88 + population_age_89 + population_age_90 + population_age_91 + population_age_92 + population_age_93 + population_age_94 + population_age_95 + population_age_96 + population_age_97 + population_age_98 + population_age_99 + population_age_100)
) * 100 AS aging_rate -- 高齢化率
FROM `bigquery-public-data.census_bureau_international.midyear_population_age_sex`
GROUP BY country_name, year
ORDER BY country_name, year;
【BigQuery SQLコード解説】
- 65歳以上の各年齢の人口を合計し、総人口で割ることで高齢化率を計算します。
- country_name と year でグループ化することで、国別・年別の高齢化率を算出します。
【BigQueryによる社会問題考察への活用例】
- 高齢化率の推移を分析することで、社会保障制度や医療制度への影響、労働力不足などの問題点を考察できます。
- 高齢化が進む国では、介護サービスや高齢者向け住宅の需要増加、医療費の増大などが課題となります。
- 若年層の減少による労働力不足、社会保障制度の負担増加など、経済や社会システムへの影響も分析できます。
BigQuery分析例:年齢層別人口構成比の比較
人口構成の変化は、社会構造や経済活動に大きな影響を与えます。
このクエリは、特定の年における、国別の年齢層別人口構成比を計算します。
with base_table as (
SELECT
country_name,
year,
sex,
CAST(REPLACE(SUBSTR(column_name, LENGTH('population_age_') + 1), '_', '') as INT64) AS age, -- 年齢を抽出
CAST(value AS BIGNUMERIC) AS population -- 人口を数値に変換
FROM
bigquery-public-data.census_bureau_international.midyear_population_age_sex
UNPIVOT(value FOR column_name IN (population_age_0, population_age_1, population_age_2, population_age_3, population_age_4, population_age_5, population_age_6, population_age_7, population_age_8, population_age_9, population_age_10, population_age_11, population_age_12, population_age_13, population_age_14, population_age_15, population_age_16, population_age_17, population_age_18, population_age_19, population_age_20, population_age_21, population_age_22, population_age_23, population_age_24, population_age_25, population_age_26, population_age_27, population_age_28, population_age_29, population_age_30, population_age_31, population_age_32, population_age_33, population_age_34, population_age_35, population_age_36, population_age_37, population_age_38, population_age_39, population_age_40, population_age_41, population_age_42, population_age_43, population_age_44, population_age_45, population_age_46, population_age_47, population_age_48, population_age_49, population_age_50, population_age_51, population_age_52, population_age_53, population_age_54, population_age_55, population_age_56, population_age_57, population_age_58, population_age_59, population_age_60, population_age_61, population_age_62, population_age_63, population_age_64, population_age_65, population_age_66, population_age_67, population_age_68, population_age_69, population_age_70, population_age_71, population_age_72, population_age_73, population_age_74, population_age_75, population_age_76, population_age_77, population_age_78, population_age_79, population_age_80, population_age_81, population_age_82, population_age_83, population_age_84, population_age_85, population_age_86, population_age_87, population_age_88, population_age_89, population_age_90, population_age_91, population_age_92, population_age_93, population_age_94, population_age_95, population_age_96, population_age_97, population_age_98, population_age_99, population_age_100))
)
SELECT
country_name,
SUM(CASE WHEN age BETWEEN 0 AND 14 THEN population ELSE 0 END) / SUM(population) * 100 AS child_population_rate, -- 0〜14歳の人口割合
SUM(CASE WHEN age BETWEEN 15 AND 64 THEN population ELSE 0 END) / SUM(population) * 100 AS working_age_population_rate, -- 15〜64歳の人口割合
SUM(CASE WHEN age >= 65 THEN population ELSE 0 END) / SUM(population) * 100 AS elderly_population_rate -- 65歳以上の人口割合
FROM base_table
WHERE year = 2023 -- 年を指定
GROUP BY country_name
ORDER BY country_name;
【BigQuery SQLコード解説】
- UNPIVOT 演算子を使用して、年齢別のカラムを縦持ちに変換します。
- CASE 句を使って、年齢層別に人口を分類し、各年齢層の人口割合を計算します。
- year = 2023 で特定の年のデータに絞り込みます。
【BigQueryによる社会問題考察への活用例】
- 各国の年齢層別人口構成比を比較することで、少子高齢化、労働力不足、世代間格差などの社会問題を分析できます。
- 人口ピラミッドを作成することで、視覚的に人口構造を把握し、将来の人口動態を予測することができます。
- 人口構成の変化は、住宅需要、医療サービス、社会保障制度など、様々な分野に影響を与えるため、政策立案にも役立ちます。
※注意点
- これらのクエリは、BigQuery公開データに基づいています。データの正確性や最新性については、実際のBigQuery公開データをご自身でご確認ください。
- 当該分析は、様々な要因を総合的に判断する必要があります。これらのクエリは分析の一例であり、意思決定の根拠として単独で使用すべきではありません。
5. FAQ:BigQueryに関するよくある質問
Q1. BigQueryの無料枠を超えて利用すると、どのくらい費用がかかりますか?
A1. 無料枠を超えた場合、従量課金制で料金が発生します。料金は、処理したデータ量やストレージ容量などによって異なります。詳しくは、BigQueryの料金ページをご確認ください。
Q2. BigQueryで使えるSQLは、他のデータベースと同じですか?
A2. BigQueryは標準SQLをサポートしており、他のデータベースで学んだSQLの知識を活かすことができます。ただし、BigQuery独自の関数や構文も存在するため、BigQueryのドキュメントで詳細を確認することをおすすめします。
Q3. SQLの学習には、どのような教材がありますか?
A3. SQLの学習には、オンライン学習サイト、書籍、動画教材など、様々な教材があります。初心者向けの教材から、上級者向けの教材まで、レベルに合わせて選ぶことができます。Googleが提供するBigQueryのチュートリアルもSQLの学習に役立ちます。
6. まとめ:BigQueryで人口動態を分析し、より良い社会を目指そう!
BigQueryは、人口統計分析に最適なツールです。BigQueryの高速な処理性能、豊富な分析機能、そして無料公開データセットを活用することで、人口動態データを分析し、社会問題の理解を深めることができます。ぜひ、BigQueryを導入し、データ分析の力を社会問題解決に活かしましょう。
BigQuery導入サポート、転職検討中の方はお問い合わせフォームからご相談くださいませ。
誠心誠意精一杯対応いたします。
【参考URL】
GoogleCloudPlatform:https://console.cloud.google.com/welcome/new
BigQuery:https://cloud.google.com/bigquery?hl=ja
BigQueryリリース情報:https://cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes
BigQuery料金:https://cloud.google.com/bigquery/pricing
BigQuery料金無料枠:https://cloud.google.com/bigquery/pricing?hl=ja#free-tier
Google Cloud活用事例:https://cloud.google.com/customers/index.html?hl=ja#
Looker Studio:https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja
Looker Studioサンプル:https://cloud.google.com/bigquery/docs/visualize-looker-studio?hl=ja