記事の対象者と解消できるお悩み
【対象者】
初中級データアナリスト
【興味関心】
- 医療従事者不足問題
- 地域医療
- 医療格差
- ヘルスケアビジネス
- 人材配置計画
【解消できるお悩み】
- 医師不足が深刻化しているって聞くけど、どの地域が特に深刻なの?
- 医療従事者不足は、医療サービスにどんな影響を与えているの?
- 地域医療の課題を解決するために、どんなビジネスチャンスがあるか知りたい
- 医療従事者の採用や配置を効率的に行うにはどうすれば良いか?
記事作成者
【人物】株式会社志庵 代表取締役 佐藤 光 起業6年目
【経歴】株式会社光通信➜光通信同期と起業➜データアナリスト転職➜SaaSで2度目起業
【会社実績】
SaaS 資金調達無しARR2億円
SaaS GMV200億円
【内容】自社AaaSであるStruccle、webスクレイピング、BigQueryに関する記事を作成
各種用語
- ARR(Annual Recurring Revenue)
- サブスクリプションサービスの年間売上※当社はSaaS売上
- Struccle(ストラクル)
- 株式会社志庵が独自開発しているAaaS
- AaaS(アース)
- Data Analytics as a Serviceの意
- SaaS(サース)
- Software as a Serviceの意
- GoogleCloudPlatform
- Googleが提供するクラウドプラットフォーム。この中に様々なサービスが存在する。
- GCP(ジーシーピー)
- GoogleCloudPlatformの略
- BigQuery(ビッグクエリ)
- 上記GCPの中に含まれるデータ分析基盤サービス
- SQL(エスキューエル)
- データベースを操作するプログラミング言語
- クエリ
- SQLで記述した命令文
- クエリ例)
- SQL構文のクエリ⬇
SELECT item_name, price FROM sales_table where price >= 1000;
- 上記クエリ(命令文)の意味としては「売上テーブル(sales_table)から価格(price)が1000円以上の商品名(item_name)と価格(price)を抽出する」
- SQL構文のクエリ⬇
- ペタバイト
- データの単位 ペタバイト=1000テラバイト=約100兆行のデータ
概要
医療は、人々の健康と well-being を支える重要な社会基盤です。しかし、医療現場では、医師不足が深刻化しており、地域によっては医療サービスの提供が困難な状況も生まれています。医師不足は、医療アクセスの格差、医療費の高騰、医師の過重労働など、様々な問題を引き起こす可能性があります。医師不足の現状を把握し、その原因を分析することは、医療制度の改善や地域医療の充実に向けて重要な第一歩です。
今回は、Google Cloudのデータウェアハウス「BigQuery」と、アメリカの医療従事者に関する無料公開データを使って、地域別の医師不足状況を分析します。BigQueryの強力な分析機能を活用することで、医師数、人口、地域別の医療需要などを分析し、医師不足が深刻な地域を特定することができます。また、医師の専門分野や年齢層、医療施設の分布などを分析することで、医師不足の要因を探ることも可能です。この記事では、BigQueryを使って医療従事者データを分析する方法と、そこから得られたインサイトを紹介します。データ分析初心者の方でも、BigQueryを使えば、複雑な医療問題をデータで理解し、解決策を考えるためのヒントを得ることができるでしょう。
目次
- BigQueryで医師不足問題を分析するメリット
- 分析に使用するBigQueryのデータセット
- BigQueryで医師不足状況を分析する手順
- BigQueryを使った医師不足分析例
- FAQ:BigQueryに関するよくある質問
- まとめ:BigQueryで医師不足問題の解決策を探ろう!
1. BigQueryで医師不足問題を分析するメリット
BigQueryは、医師不足問題の分析に最適なツールです。その理由は、以下の様なメリットがあるからです。
- 大規模データの高速処理: 膨大な医療従事者データを高速に分析できるため、医師不足の現状を効率的に把握できます。
- 様々なデータソースとの連携: 公開データ、医療機関のデータ、人口統計データ、地理空間データなど、様々なデータソースと連携できるため、医師不足問題を多角的に分析できます。
- 豊富な分析機能: SQL、機械学習、統計分析など、高度な分析機能を利用できるため、複雑なデータ分析にも対応できます。
- コストパフォーマンスの高さ: 従量課金制なので、必要な時に必要なだけ利用でき、コストを抑えられます。
- 高いセキュリティ: Google Cloudの強固なセキュリティ基盤により、安心してデータを管理できます。
2. 分析に使用するBigQueryのデータセット
今回の分析では、BigQueryの公開データセット「Medicare Physician and Other Supplier National Provider Identifier (NPI) Aggregate Report」を使用します。このデータセットは、アメリカのメディケア(高齢者向け医療保険制度)に参加している医師や医療従事者に関する集計データです。データの内容は、医師の専門分野、所在地、サービス提供件数、平均請求額などです。このデータセットを分析することで、地域別の医師不足状況や、医師の専門分野別の偏在状況などを把握することができます。
3. BigQueryで医師不足状況を分析する手順
BigQueryで医師不足状況を分析する手順は以下の通りです。
3.1 1. データ確認
まず、データセットの内容を確認します。BigQueryコンソールのUIでデータセットのスキーマを確認したり、サンプルデータをプレビューしたりすることで、データの構造や内容を理解することができます。`cms_medicare.physicians_and_other_supplier_2014` テーブルには、医師や医療従事者の情報(`npi`, `provider_type`, `nppes_provider_state`, `bene_unique_cnt`など)が含まれています。医師の専門分野や地域別の人数などを確認しましょう。
3.2 2. データ加工
必要に応じて、データを加工します。例えば、医師の専門分野をグルーピングしたり、州の人口データと結合して人口10万人あたりの医師数を計算したりします。BigQueryは、SQLを使ってデータ加工を行うための様々な関数を提供しています。
3.3 3. データ分析
加工したデータに対して、SQLクエリを使って分析を行います。例えば、地域別の医師数を集計し、人口10万人あたりの医師数でランキングを作成することで、医師不足が深刻な地域を特定することができます。また、医師の専門分野別の分布を分析することで、特定の専門分野に偏りがあるかどうかを把握することも可能です。
3.4 4. 考察と分析結果の活用
分析結果に基づいて、医師不足問題の現状と課題について考察します。医師不足が深刻な地域や専門分野はどこか、その原因は何なのか、どのような対策が有効なのかなどを分析し、レポートにまとめます。分析結果を基に、医師の配置や育成に関する政策提言、医療機関の誘致、地域医療の充実に向けた取り組みなどに役立てることができます。
4. BigQueryを使った医師不足分析例
医療現場における医師不足は、先進国共通の課題です。
特に地域による医師の偏在は深刻化しており、医療アクセスに大きな格差を生み出しています。
今回は、BigQuery公開データセット bigquery-public-data.cms_medicare.physicians_and_other_supplier_2014 を用いて、アメリカの医師の分布状況を分析し、医師不足問題の現状と課題、そしてその解決に向けた施策について考えていきましょう。
このデータセットは、メディケアに参加している医師やその他の医療提供者に関する情報を提供しており、医師の専門分野や所在地、サービス提供件数などを分析することができます。
BigQuery分析例:州別の医師数ランキング
医師不足の現状を把握するため、州(nppes_provider_state)別に医師数(provider_count)を集計し、ランキング形式で表示します。
SELECT
nppes_provider_state AS state,
COUNT(DISTINCT npi) AS provider_count
FROM `bigquery-public-data.cms_medicare.physicians_and_other_supplier_2014`
GROUP BY 1
ORDER BY provider_count DESC
LIMIT 10
【BigQuery SQL解説】
- COUNT(DISTINCT npi)で、州別の医師数をカウントします。npi (National Provider Identifier) は、アメリカの医療提供者を識別するための固有の番号です。
- GROUP BY句で、州(nppes_provider_state)ごとに集計します。
- ORDER BY句で、医師数(provider_count)の降順に並べ替えます。
- LIMIT 10で、上位10件のみを表示します。
【BigQuery分析での活用例】
- 医師数が多い州と少ない州を比較することで、医師の偏在状況を把握できます。
- 人口や医療施設の数などを考慮した上で、医師不足が深刻な州を特定することができます。
BigQuery分析例:専門分野別の医師数と平均報酬額
医師の専門分野(provider_type)別に、医師数(provider_count)と平均報酬額(avg_medicare_payment)を集計します。
SELECT
provider_type,
COUNT(DISTINCT npi) AS provider_count,
AVG(average_medicare_payment_amt) AS avg_medicare_payment
FROM `bigquery-public-data.cms_medicare.physicians_and_other_supplier_2014`
GROUP BY 1
ORDER BY provider_count DESC
【BigQuery SQL解説】
- COUNT(DISTINCT npi)で、専門分野別の医師数をカウントします。
- AVG(average_medicare_payment_amt)で、専門分野別の平均メディケア支払額を計算します。
- GROUP BY句で、専門分野(provider_type)ごとに集計します。
- ORDER BY句で、医師数(provider_count)の降順に並べ替えます。
【BigQuery分析での活用例】
- 専門分野別の医師数を比較することで、どの分野に医師が集中しているのか、どの分野で不足しているのかを把握できます。
- 平均報酬額との関係を分析することで、報酬の低い分野に医師が集まりにくい傾向があるのかどうかなどを検証することができます。
注意点
- これらのクエリは、BigQuery公開データに基づいています。データの正確性や最新性については、実際のBigQuery公開データをご自身でご確認ください。
- 当該分析は、様々な要因を総合的に判断する必要があります。これらのクエリは分析の一例であり、意思決定の根拠として単独で使用すべきではありません。
5. FAQ:BigQueryに関するよくある質問
Q1. BigQueryの無料枠を超えて利用すると、どのくらい費用がかかりますか?
A1. 無料枠を超えた場合、従量課金制で料金が発生します。料金は、処理したデータ量やストレージ容量などによって異なります。詳しくは、BigQueryの料金ページをご確認ください。
Q2. BigQueryで使えるSQLは、他のデータベースと同じですか?
A2. BigQueryは標準SQLをサポートしており、他のデータベースで学んだSQLの知識を活かすことができます。ただし、BigQuery独自の関数や構文も存在するため、BigQueryのドキュメントで詳細を確認することをおすすめします。
Q3. SQLの学習には、どのような教材がありますか?
A3. SQLの学習には、オンライン学習サイト、書籍、動画教材など、様々な教材があります。初心者向けの教材から、上級者向けの教材まで、レベルに合わせて選ぶことができます。Googleが提供するBigQueryのチュートリアルもSQLの学習に役立ちます。
6. まとめ:BigQueryで医師不足問題の解決策を探ろう!
BigQueryは、医師不足問題を分析するための強力なツールです。BigQueryの高速な処理性能と豊富な分析機能、そして無料公開データセットを活用することで、医師不足の現状を把握し、その解決策を探ることができます。ぜひ、BigQueryを導入し、データ分析の力を医療問題の解決に活かしましょう。
BigQuery導入サポート、転職検討中の方はお問い合わせフォームからご相談くださいませ。
誠心誠意精一杯対応いたします。
【参考URL】
GoogleCloudPlatform:https://console.cloud.google.com/welcome/new
BigQuery:https://cloud.google.com/bigquery?hl=ja
BigQueryリリース情報:https://cloud.google.com/bigquery/docs/release-notes
BigQuery料金:https://cloud.google.com/bigquery/pricing
BigQuery料金無料枠:https://cloud.google.com/bigquery/pricing?hl=ja#free-tier
Google Cloud活用事例:https://cloud.google.com/customers/index.html?hl=ja#
Looker Studio:https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja
Looker Studioサンプル:https://cloud.google.com/bigquery/docs/visualize-looker-studio?hl=ja